1日5分でも意味がある?忙しい人のための「運動スナック」という新習慣
2026/09/19
「運動したほうがいいのは分かっている。でも、毎日30分も1時間も運動する時間なんてない」
パーソナルジムでトレーナーをしていると、こうした相談は本当によくあります。
仕事が忙しい。
家事や育児がある。
帰宅すると疲れてしまう。
そもそも運動があまり好きではない。
こうした生活の中で「週3回、毎回1時間運動しましょう」と言われても、なかなか現実的ではありません。
そこで最近、運動生理学の分野で注目されているのが**「Exercise Snacks(エクササイズ・スナック)」**という考え方です。
名前だけ聞くと少し変わっていますが、簡単に言えば「運動をまとめてやるのではなく、短時間に小分けして行う」という方法。
例えば、
・朝、スクワットを数分
・仕事の合間に階段を使う
・昼休みに少し早歩きをする
・夕方に軽く身体を動かす
といった具合です。
「そんな短時間の運動で何が変わるの?」
と思うかもしれません。
実は、ここが今回の面白いところです。
「30分運動できないから何もしない」より、数分でも動く
運動について考えるとき、私たちはつい「何分やったか」を気にしてしまいます。
30分なら合格。
60分なら頑張った。
10分では意味がない。
そんな感覚です。
でも、健康のための身体活動という視点では、必ずしも「まとまった時間を確保しなければ運動にならない」というわけではありません。
WHOの身体活動ガイドラインでも、成人には週150〜300分の中強度有酸素運動などが推奨されていますが、同時に「少しでも身体を動かすことは、何もしないより良い」という考え方が示されています。座っている時間を軽い身体活動に置き換えることにも意味があります。
つまり、
「今日は30分のウォーキングができないからゼロ」
ではなく、
「今日は5分だけでも身体を動かそう」
という考え方ができます。
この発想は、忙しい大人にとってかなり重要だと思います。
最近の研究でも「短時間×小分け」が注目されている
2025年に発表されたメタ解析では、短時間の運動を日常生活に取り入れる「Exercise Snacks」について、成人の最大酸素摂取量などの心肺フィットネスが改善する可能性が報告されています。特に普段あまり運動していない人にとって、時間効率のよい方法になり得るとされています。
さらに2026年に発表された別の系統的レビュー・メタ解析でも、運動不足の成人を対象に、5分以内の運動を1日複数回に分ける方法が検討され、心肺フィットネスの改善が確認されています。
ただし、ここは少し冷静に見ておきたいところです。
研究によっては、体重や体脂肪、血圧、血中脂質などについて明確な改善が確認されていません。
つまり、
「1日5分運動すれば痩せる」
という単純な話ではありません。
短時間の運動は、あくまで「運動不足を減らすための一つの方法」と考えるのが適切です。
僕が現場で感じるのは「運動量」より「運動する人になる」ことの大切さ
PROLOGUEでお客様を見ていて、僕が意外と重要だと感じるのがここです。
運動習慣がない人にとって、最初の壁は「筋肉をどれだけ鍛えるか」ではありません。
そもそも身体を動かすことを生活の中に入れられるか。
ここが大きなポイントになります。
以前PROLOGUEに来られたA様も、もともとは運動がかなり苦手な方でした。
子どもの頃から体育が苦手で、社会人になってからも運動習慣はほとんどありません。
最初から「週3回ジムに通いましょう」と言われていたら、たぶん長続きしなかったと思います。
実際にA様がPROLOGUEで見つけたのは、週1回の運動を無理なく続ける生活でした。
今では、以前は重荷だった運動を「週1回の自分へのご褒美」と感じられるようになっています。
この経験を見ていても、僕は「最初から完璧な運動量を目指さないこと」がすごく大切だと思っています。
運動スナックという考え方も、まさにこの延長線上にあります。
じゃあ、実際に何をすればいい?
難しいことをする必要はありません。
例えば、
朝
歯磨きや着替えを終えたあとに、スクワットを10〜20回。
仕事中
1時間以上座り続けないように、一度立って少し歩く。
昼休み
エレベーターではなく階段を使う。
帰宅後
テレビやスマホを見る前に、軽くスクワットや腕立てなどを数分。
買い物
近い距離なら車を使わず歩く。
こうした小さな活動を「運動」として意識してみるだけでも、日常の身体活動量は変わります。
もちろん、筋肉を増やしたい、体型を変えたい、筋力を高めたいという目的なら、こうした短時間運動だけでは不十分です。
筋力トレーニングを計画的に行うことも必要です。
ただ、
「まとまった運動時間が取れないから、今日は何もしない」
という状態を減らす方法としては、かなり使いやすい考え方です。
運動は「イベント」ではなく「生活の一部」にする
僕がトレーナーとして一番大切だと思っているのは、運動を特別なイベントにしないことです。
「今日はジムに行くぞ」
「1時間走るぞ」
「絶対に汗をかくぞ」
と構えてしまうと、忙しい日はどうしても優先順位が下がります。
でも、
「エレベーターじゃなく階段にしよう」
「ちょっと歩こう」
「5分だけ身体を動かそう」
くらいなら、生活の中に入れやすい。
そして、その小さな行動が積み重なって「身体を動かすのが当たり前」という状態になっていきます。
運動習慣を作るうえでは、これはかなり大きな違いです。
最初から100点を狙わなくていい。
5分でもいい。
少し歩くだけでもいい。
まずは「ゼロの日を減らす」。
そして余裕が出てきたら、週1回の筋力トレーニングを始める。
さらに体力がついてきたら、運動量を少しずつ増やしていく。
このくらいの順番でも十分です。
「忙しいから運動できない」を少しだけ変えてみる
健康のために必要なのは、必ずしも特別な時間だけではありません。
朝の数分。
仕事の合間の数分。
昼休みの数分。
夜の数分。
こうした「すき間」を身体活動に変えることもできます。
そして、短時間の運動は「本格的なトレーニングの代わり」ではなく、運動習慣を始める入口として考えると、とても使いやすくなります。
「運動したほうがいいのは分かっているけど、時間がない」
そんな人は、まず1日5分から始めてみてください。
5分で人生が劇的に変わる、という話ではありません。
でも、5分なら始められる。
始められれば、続けられる可能性が生まれる。
そして続けているうちに、「もう少し身体を動かしてみよう」と思える日が来るかもしれません。
僕は、運動習慣って結局そういう小さな積み重ねだと思っています。
「まとまった時間ができたら運動する」ではなく、「今ある数分を運動に変える」。
忙しい大人にこそ、こんな運動との付き合い方があってもいいのではないでしょうか。
PROLOGUEでは、その人の生活スタイルや体力、身体の状態に合わせて、無理なく続けられる運動習慣を一緒に考えています。
「運動を始めたいけれど、何からやればいいか分からない」
「昔より体力が落ちた気がする」
「ジムに通いたいけれど、厳しいトレーニングは苦手」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
運動は、頑張れる人だけのものではありません。
今の自分にできる小さな一歩から始めればいい。
それが、長く続く身体づくりのスタートになると思います。
参考にした主な研究
2025年のExercise Snacksに関する系統的レビュー・メタ解析では、心肺フィットネスの改善などが報告されています。
2026年のBritish Journal of Sports Medicine掲載メタ解析では、運動不足の成人における短時間運動の反復について、心肺フィットネスへの有効性が確認されています。
また、2026年発表のレビューでは、座りっぱなしを身体活動で中断する方法についても検討されています。
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※本記事は2026年9月時点の情報・研究をもとに作成しています。持病や痛みがある場合は、運動開始前に医療専門職へご相談ください。