筋肉痛がないと筋トレは意味がない?「翌日痛いほど効いている」は本当なのか
2026/10/08
「昨日トレーニングしたのに、今日まったく筋肉痛がないんですけど……ちゃんと効いてますか?」
パーソナルトレーナーをしていると、これは本当によく聞かれる質問です。
逆に、
「今日はめちゃくちゃ筋肉痛です!昨日かなり効きました!」
とうれしそうに報告してくれる方もいます。
その気持ちはよく分かります。
トレーニングした翌日に階段を降りるのがつらいくらい脚が痛かったり、胸や背中が張っていたりすると、「昨日は頑張ったな」という達成感がありますよね。
でも、トレーナーとして長く現場にいる僕の感覚では、
筋肉痛が強い=良いトレーニング
とは限りません。
むしろ筋トレに慣れてきた人ほど、毎回ひどい筋肉痛にならないのに、少しずつ重量が伸びたり、身体のラインが変わったりすることは普通にあります。
今回は、「筋肉痛がないと筋肉は成長しないのか?」という疑問について、最近の研究も交えながら整理してみます。
そもそも筋肉痛はなぜ起こる?
筋トレをした翌日から2日ほど経って、
「脚が痛い」
「腕を伸ばすと痛い」
「座るときにお尻が痛い」
といった症状が出ることがあります。
これが一般的にDOMS(Delayed Onset Muscle Soreness)、日本語では「遅発性筋肉痛」と呼ばれるものです。
特に起こりやすいのが、普段やっていない運動をしたとき。
そして、筋肉が力を出しながら引き伸ばされる「エキセントリック収縮」が多い運動です。
例えばスクワットでゆっくりしゃがむ動作や、ダンベルをゆっくり下ろす動作などですね。
以前は、
「筋肉に細かな傷ができて、そこに炎症が起こるから筋肉痛になる」
という説明がよくされていました。
もちろん筋損傷や炎症も関係しています。
ただ、最近はもう少し複雑だと考えられています。
2026年に発表されたレビューでは、DOMSは単なる「筋肉の損傷」だけではなく、痛みを感じる神経系の反応なども含んだ多因子的な神経生理学的現象として捉えるべきだとされています。PubMed
つまり、
痛い=筋肉がたくさん壊れた
とも、
たくさん壊れた=たくさん筋肉がつく
とも単純には言えないんです。
筋肉が成長するために「痛み」は必要ない
では、筋肉をつけるためには何が重要なのか。
最近の筋肥大研究で重要視されているのは、筋肉に適切な**機械的な負荷(メカニカルテンション)**を与え、それを継続していくことです。
2026年に発表された筋肥大のレビューでも、レジスタンストレーニングによる機械的刺激と、その後の筋タンパク質合成の積み重ねが筋肥大の中心的な仕組みとして整理されています。Physiology Journals
さらに2026年のACSM(アメリカスポーツ医学会)のポジションスタンドでは、137件のシステマティックレビュー、3万人以上のデータをまとめてレジスタンストレーニングを検討しています。
その結果、筋力や筋肥大には「継続的なレジスタンストレーニング」が明確に有効である一方、毎セット限界まで追い込むことは、結果を一貫して改善する要因ではありませんでした。PubMed
ここはかなり重要です。
筋肉痛になるまで追い込む。
動けなくなるほどトレーニングする。
毎回限界までやる。
こうしたことが、筋肉をつけるための必須条件ではないということです。
慣れてくると筋肉痛が減るのはむしろ普通
トレーニングを始めたばかりの頃を思い出してみてください。
初めてスクワットをした翌日、
「トイレに座れない」
くらい太ももが痛くなった経験がある方もいると思います。
ところが、同じトレーニングを何週間か続けていると、最初ほど筋肉痛が出なくなってきます。
すると、
「最近筋肉痛が来なくなったから、効いていないのかな?」
と心配になる。
でも、これは身体が刺激に適応した結果でもあります。
同じような運動を繰り返すと、次回以降の筋損傷や筋肉痛が小さくなる「Repeated Bout Effect(繰り返し効果)」という現象が知られています。
2026年9月に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析でも、最初のエキセントリック運動と比べ、2回目では24〜48時間後の筋肉痛や筋力低下が小さくなることが確認されています。Springer
日本体力医学会の学術誌に2026年9月25日に掲載されたレビューでも、慣れていないエキセントリック運動では筋肉痛や筋機能低下が起こりやすい一方、同じ運動を繰り返すことでその反応は大きく減ると整理されています。J-STAGE
つまり、
筋肉痛が減った=トレーニング効果がなくなった
ではありません。
身体がトレーニングに慣れてきた可能性もあるということです。
筋肉痛を「成績表」にはしていない
僕自身も筋トレをしていますが、毎回筋肉痛になるわけではありません。
むしろ長くトレーニングしていると、
「昨日かなりしっかりやったのに、意外と何ともないな」
という日はいくらでもあります。
それでも、
以前より重い重量が扱える。
同じ重量でも回数が増える。
フォームが安定する。
狙った筋肉を使いやすくなる。
身体のラインが変わる。
こうした変化が起きているなら、トレーニングは十分機能しています。
だから僕は自分のトレーニングでも、お客様のトレーニングでも、
「次の日にどれだけ痛くなるか」
を目標にはしていません。
それよりも、
前回より少し良いトレーニングができたか。
こちらを見ています。
PROLOGUEのお客様でも同じことが起こります
PROLOGUEに通われている30代のA様も、最初は運動経験がほとんどなく、トレーニングに対して「キツい」「痛い」というイメージを持っていました。
実際、最初のトレーニングではいきなり重いウエイトを扱うのではなく、硬くなった股関節や胸まわりを動かしながら、正しい身体の使い方を覚えるところからスタートしています。
そのときA様が驚いていたのが、
「運動したのに嫌な痛みがない」
ということでした。PROLOGUE
そこから週1回のペースで3ヶ月継続。
体重の数字だけではなく、お腹や背中のラインがすっきりし、夕方の脚の重だるさが軽くなり、休日を寝て過ごすことも減りました。PROLOGUE
毎回、翌日に歩けないほど筋肉痛になるトレーニングをしていたわけではありません。
むしろ、その日の体調に合わせて強度を変えながら続けていった結果です。
トレーナーとして現場で多くのお客様を見てきましたが、こういうケースは珍しくありません。
「筋肉痛」よりチェックしてほしい3つのこと
では、筋肉痛を基準にしないなら、何を見ればいいのか。
僕なら次の3つを見ます。
① 重量や回数が少しずつ伸びているか
例えば以前はスクワットを10kgで10回だったものが、12kgになった。
あるいは同じ10kgでも12回できるようになった。
これはかなり分かりやすい成長です。
② フォームが良くなっているか
最初はフラフラしていたスクワットが安定する。
背中のトレーニングで腕ばかり疲れていた人が、背中を使えるようになる。
これも立派な進歩です。
重量だけが成長ではありません。
③ 数週間〜数ヶ月単位で身体が変わっているか
筋肉は一晩では成長しません。
昨日のトレーニングが成功だったかを、今日の筋肉痛だけで採点する必要はないんです。
1ヶ月、2ヶ月と続けたときに、
身体のラインが変わった。
以前より疲れにくい。
重量が伸びた。
姿勢が良くなった。
こうした変化が出ていれば十分です。
むしろ毎回ひどい筋肉痛を狙う必要はない
僕が初心者の方に特に伝えたいのはここです。
筋肉痛を作ることを目的にすると、
「昨日よりもっと追い込まなきゃ」
「もっと痛くなる種目をやろう」
と、トレーニングがどんどん過激になってしまいます。
でも、数日間階段もつらいほどの筋肉痛が毎回出れば、次のトレーニングにも影響します。
仕事や家事がある人なら、なおさらですよね。
2026年のACSMのポジションスタンドでも、筋力や筋肥大を得るために毎回限界まで追い込む必要性は支持されていません。PubMed
僕がパーソナルトレーニングで大切にしているのは、
「今日だけ100点のトレーニング」より、「来週も来られるトレーニング」。
もちろん楽をすればいいという意味ではありません。
必要な負荷はしっかりかけます。
でも、翌日の生活が壊れるほど追い込むことと、効果的なトレーニングは別物です。
「筋肉痛がない」は心配しなくていい
筋肉痛が来ると、頑張った感じがする。
これは悪いことではありません。
久しぶりに運動したり、新しい種目を入れたりすれば、筋肉痛が出るのも普通です。
ただし、
筋肉痛はトレーニングの結果として起こることはあっても、トレーニング効果そのものではありません。
痛くないから失敗。
痛いから成功。
そんな単純なものではないんです。
筋肉痛より、
前より少し重いものを持てた。
フォームがきれいになった。
疲れにくくなった。
身体のラインが変わった。
そして何より、何ヶ月もトレーニングを続けられている。
僕は、こちらのほうがずっと大切な「成果」だと思っています。
筋トレを始めたばかりの方ほど、翌日の痛みでトレーニングを採点しなくて大丈夫です。
筋肉を育てるのは、一回の強烈な筋肉痛ではなく、適切な刺激を何度も積み重ねること。
これくらいの距離感で筋トレと付き合ったほうが、結局は身体も変わりやすいと思います。
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PROLOGUE(プロローグ)
名古屋市中区錦のパーソナルジムPROLOGUEでは、トレーニング経験やその日の身体の状態に合わせて、完全オリジナルのメニューを作成しています。筋トレだけでなく、接骨院勤務経験を持つトレーナーによるボディケアやストレッチも組み合わせながら、「続けられるトレーニング」を大切にしています。PROLOGUE
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※強い腫れや鋭い痛み、関節の痛みなどがある場合は、通常の筋肉痛とは異なる可能性があります。無理にトレーニングを続けず、必要に応じて医療機関へご相談ください。

